金澤翔子書品展に行ってきました
- 2012.07.26 Thursday
- 17:16
寒河江八幡宮様において昨年に引き続き2回目の開催となる
「金澤翔子書品展〜翔子と禅の世界〜」
に行ってきました。
この規模で書品展を開催するのは、東北でも寒河江八幡宮様
だけです。
【 金澤翔子さん 】
5歳の時からお母さまに書道を習い、現在は27歳。
今年はNHK大河ドラマ「平清盛」の題字も手掛けています。
小柄な体からは想像もつかないような、大きな文字と
力強い筆さばきには、「命」の凄ささえ感じます。
【 飛翔 】
【 希望光 】
昨年の震災の様子を見て、心を痛めた翔子さんの渾身の書。
【 お母さまと翔子さん 】
優しいお母さまは、師:金沢蘭鳳として厳しく翔子さんに書を
教えたそうです。ダウン症という病気を抱えつつも、5歳から筆を持ち、
10歳には般若心経を書きました。
【 般若心経 】
とめ、はね、はらい、右上がり…
私たちが一度身に着けたら書けるものも、翔子さんにはなかなか
出来ない事もあり、その度に、お母さまは丁寧に丁寧に教えていたそうです。
10歳で書いた般若心経は、素直な心が表われた素晴らしいものでした。
19歳で雅号を取得し「小蘭」と号します。
【 兩(両)忘 】
【 阿吽 】
【 兩忘 阿吽(りょうぼう あうん)】
「兩忘は、過去も未来も両方忘れるということですが、それが凡人には
なかなかできません。でも、翔子さんは、この大字楷書を描いている時は、
一切・すべて忘れているようでした。
阿吽の阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音と
言われています。そして、それは宇宙の始まりと終わりを表す言葉とも
されています。然し、翔子さんの世界は、宇宙もなく、阿もなく、吽もなく、
我が道を歩いているようです。こんな生き方、誰が出来ますか。」
(作品解説文より)
【 鳥飛魚躍 】
【 鳥飛魚躍(とりとびさかなおどる)】
「万物が自然の本性に従って、自由に楽しんでいることのたとえ。
まさに翔子さんである。そして「書」も厳しい戒律の中で、自由奔放になるのが
理想かもしれません。」(作品解説文より)
【 寒山詩 】
【 寒山詩(かんざんし)】
「この書は遊び心を醸し出しております。といいますか、翔子さん任せなので
途中から「絵をかこうか」と言いましたら「お母さんと相談してみる…」
そんな返事でした。果たしてどんな会話から、このような作品が生まれたのでしょうか」
(作品解説文より)
楷書が多い翔子さんの作品ですが、楷書の技を持っているからこそ書ける隷書。
のびのびとした文字を見ていると、穏やかな心になるようでした。
【 柳緑花紅 】
【 柳緑花紅(りゅうりょくかこう)】
「柳が緑色に茂り、花が紅色に咲く。春の美しい景色のたとえ。
物事に自然の理がそなわっていることのたとえ。物事がそれぞれに異なって
いることのたとえ。悟りをひらいた状態のたとえ。などなど、たって四字で
色々な意味が込められています。翔子さんにとっては、きっと最初に意味が
一番似合っているようです。そして、最後の悟りひらいた状態なのかもしれません。」
(作品解説文より)
私は、この書がとても好きになりました。
紙に対して、絶妙なバランス…。真似できません。
【 千字文 】
「2月17日、翔子は怪我をした。右足首脱臼と複雑骨折で四時間にわたる
手術をして、今でも車椅子です。怪我をした時点で建長寺展の作品は殆ど
出来上がっていたのですが最後の、一番大きな屏風がひとつ残っていた。
車椅子でも出来る事をしなければならなかった。大字は書けない。そこで
無理を承知で千字文に挑んだ。千字文ならば車椅子に坐って書ける。
痛み止めを飲むので意識も遠く居眠りをしながらも、頑張れと叱られて、
泣きながら毎夜書き続けて遂に完成しました。その千字文を展示致します。」
(作品解説文より)
一文字の間違いも許されない中で仕上げる作品。
「すごい」の一言しか発すことの出来ない自分の語彙力に落ち込みつつ…
でも、すごいのです。
このBlogでこんなに詳しく紹介してしまうことに、少し気が引けますが
遠方の方で、ご覧になれない方は、このBlogを読んでください。
でも、寒河江にお越しになれるならば…
ぜひ間近で作品を感じてください。
まだ紹介していない作品もあります。
金澤翔子書品展は7月31日(火)まで開催中です。
詳しくは、寒河江八幡宮 公式HP をご覧ください。